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潤滑技術 - 産業オイル編

油圧作動油の省エネ – 粘度・粘度指数以外の要素とは?

省エネまずはエネルギー損失のメカニズムを知る!

まずは油圧回路で起きているエネルギー損失をみていくことにしましょう。下の図のように入力のエネルギーが100%であっても、その力を100%出力として使える訳ではありません。それは、配管やポンプなどでエネルギー損失が発生するからです。結果として仕事をするエネルギーは40~60%程度となってしまいます。


油圧作動油による省エネ技術は、どれだけエネルギー損失を削減し、伝達する出力を増加させるかが鍵となります。

しくみ1:油圧作動油の密度を下げる!

まず一つ目の省エネ技術の仕組みは「密度を下げる」ことです。
オイルが配管を流れる時に、配管との間に生じる摩擦でエネルギーが損失します。これを配管抵抗と呼びます。

 

この圧力損失を式で書くと以下の通りです。
この式には色々な因子が含まれていますが、油圧作動油由来で圧力損失に関わるものとしては「密度」があります。この関係式より、ΔP(圧力損失)が、ρ(油の密度)に比例する、ということが分かります。

 

圧力損失の公式に関する説明の図です。

つまり、例えば同じVG46の油圧作動油であっても、密度の低いオイルの方が、配管での損失が小さい、ということが言えます。
この配管での圧力損失の削減は、作動油の密度に依存するもので、摩擦調整剤などの添加剤では配管抵抗を下げることはできません。

しくみ2:油圧作動油の粘度指数を上げる!

2つの仕組みは、「粘度指数を上げる」です。
潤滑油の粘度は、温度の影響を強く受けます。しかし、温度に対する粘度の変化率は油圧作動油の種類によって異なります。その指標を表したものを「粘度指数」といい、温度変化に対して粘度変化が小さいオイルは粘度指数が高い値を示します。
下図は、縦軸に動粘度、横軸に油温を書いたものですが、高粘度指数油の方が、温度が変化しても粘度が変化しにくいことが分かります。

粘度指数を説明している図です。

冬場は、上図の初期油温で示すように油温が非常に低い状態で機械を立ち上げ時なくてはなりません。この時の粘度を確認してみると、高粘度指数油の方が粘度が低いため、ポンプでの抵抗や配管での抵抗も抑えられます。
続いて暖機運転にかかる時間を比較してみても、高粘度指数油の方が短い時間で済ませることが可能です。暖機運転中は機械で製品を製造できないため削減できる暖機運転時間分の電気代を削減することができます。

しくみ3:油圧作動油によって金属面の摩擦を下げる!

3つめの仕組みが「摩擦を下げる」です。
これは、摩擦調整剤という添加剤を使用することで、ポンプしゅう動部などの金属間の摩擦を下げることができます。

摩擦調整剤の作用を説明する図です。
摩擦調整剤のような添加剤は消耗品であるため、添加剤が消費されて少なくなってしまうと効果が薄れてしまう、という注意点もあります。

しくみ4:油圧作動油の粘度を下げる!

最後、4つめの仕組みが「粘度を下げる」です。
低粘度化により粘性抵抗が低下し、油圧作動油が配管内を回りやすくなり(機械効率が上がる)省エネ効果が期待できます。また生産性の向上=サイクルタイムの短縮にも繋がります。
但し、粘度を下げるときには注意点もあります。
粘度を下げることで、油膜が保てず、焼付き・摩耗・オイル漏れを誘発することがあります。
また、粘度を下げ過ぎることで、内部リークが増えてポンプ効率の低下し、逆に消費電力が増えてしまうこともあります。必ず機械メーカーの見解も確認し、最適粘度範囲内で使用することが大切です。


油圧作動油の粘度とポンプ効率の相関性を説明している図です。

4つのしくみが作用する場所とは!

次にエネルギー損失が起きている場所を見ていくことにしましょう。下のグラフは油圧装置における全エネルギー損失の内、どの箇所どのくらいの損失が起きているのかを調査したものです。配管でのエネルギー損失が最も多く、次にフィルタ―類での損失が多いことがわかります。くみ1」でお話した油圧作動油の密度を下げることが大きな役割を果たしていることもご理解いただけると思います。

エネルギーロスが起きている場所と割合を示している円グラフです。

*上記円グラフで示したエネルギー損失割合は、油圧装置の種類によって異なります。

省エネタイプの油圧作動油を選ぶときには、オイルの基本性能に加えて、こういった点を見ながら選定されることをお勧めいたします。

シェルルブリカンツジャパンの省エネタイプの油圧作動油はこちら↓
シェルテラスS3VE(ご興味のある方はぜひ左記リンクにてご覧ください)

次回は、省エネタイプの作動油がもたらす+α(プラスアルファ)の効果について、お話していきます。

 

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