Mechanics repairing private jet inside the hangar of a small general aviation airport in California.
PT6の進化 – 高温化、効率化、出力向上
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ（P&WC）PT6エンジンは、同モデルの運用が開始された1964年以降、60,000台以上が製造されており、最も普及しているターボプロップエンジンです。初期エンジンから進化してきた現在の型式は、最大4倍の出力があり、出力重量比は50%向上し、燃料消費率は最大20%改善しています。
また作動温度も大幅に高温化しており、MIL-PRF-23699GのSTDクラス規格のタービンエンジンオイルを使用した場合は、酸化してコークスデポ
ジットが生成されるおそれがあります。
コークスデポジットが生じると、コンポーネントのオイル不足やオイルの漏洩、あるいはその両方が生じるおそれがあります。過度のデポジットが生じると、使用時のメンテナンスコストは増加し、予定外にエンジンの取り外しが生じる可能性もあり、どちらも航空機の稼働率を低下させます。コークス生成に伴うリスクをどうすれば避けられるでしょうか？
オイルの進化 – HTSオイル
PT6エンジンをはじめとするエンジンの進化に伴い、エンジンオイル技術も進化しています。MIL-PRF-23699Gの耐熱クラス(HTS) 規格に準拠して配合されたオイルは、高温化した最新のエンジンに対する適合性に優れています。
ただし、一部のHTSオイルでは、オイルシール劣化の問題が生じることが知られています。
エーロシェル タービンオイル 560は、高い作動温度に対する耐性を備えた低コークスHTSオイルです。また当社では、オペレーターの協力を得て、同オイルが他のHTSオイルとは異なり、シールを劣化させないことも実証しています。
そのため、エーロシェル タービンオイル 560は、全てのPT6エンジンで使用が承認されています。
使用事例：全てのTBMシリーズに適した初期充填・推奨オイル
ダエア TBM 850/TBM 900シリーズ航空機のオペレーターは、使用しているオイルサンプルに含まれるコークスデポジットについて報告しています。ダエア社（Daher）とP&WC社は、優れたオイルシール適合性を備えたHTSオイルが必要であるという認識のもと、エーロシェル タービンオイル 560の共同試験を実施しました。
同試験から、エーロシェル タービンオイル 560を使用した場合、コークス生成が抑制され、良好なシール性能を発揮することが明らかになりました。それにより、以下の結論が得られています。
∙ エーロシェル タービンオイル 560は、全てのTBMシリーズ航空機に適した初期充填オイル
∙ ダエア社では、自社の全てのTBMオペレーターに対し、エーロシェル タービンオイル 560の使用を推奨
また、P&WC社もSB （サービス・ブリテン） を発行し、HTSオイルの使用によりオーバーホール間隔（TBO）を3,000時間から3,500時間に延伸する効果が得られ、運用費がエンジン飛行時間当たり 20 ドル削減される可能性があることを通知しています。
使用事例：運用費を飛行時間当たり 55–65 ドル削減
ピラタスPC-12のオペレーターは、P&WC社の協力のもと、PT6A-67Bエンジンにエーロシェル タービンオイル 560を使用し適正なメンテナンス作業を実施することにより、そのTBOを3,000時間から5,000時間へと安全に延伸しています。
同オペレーターは、エーロシェル タービンオイル 560を使用することで、以下が実現されると推定しています。
∙ 運用費をエンジン飛行時間当たり55～65ドル削減
世界で最大の売上を誇るターボプロップに動力を供給
PT6は世界で最も売れているターボプロップエンジンであり、下記のような幅広い航空機モデルに使用されています。エーロシェル タービンオイル 560は全てのPT6エンジンで使用が承認されています。
∙ エア・トラクター AT-502／AT-602／AT-802
∙ ダエア TBM 700／850／900／960
∙ エンブラエル EMB-110／EMB-312 Tucano／EMB-314 Super Tucano
∙ ピラタス PC-6／PC-12
∙ パイパー PA-31T／PA-46 M500/M600
∙ テキストロン・ビーチクラフト Beech 1900C/D／KingAir 90／King Air 200／King Air 350／T-6 Texan II
∙ テキストロン・セスナ 208/208B Caravan／408 SkyCourier
∙ スラッシュ・エアクラフト 510P／510P2／710P
∙ バイキング・エア DHC-6
まとめ
P&WC社のPT6エンジンは初期エンジンから進化を続け性能の向上とともに作動温度が高温化しています。熱によりオイルは酸化しデポジットを生成しますが、MIL-PRF-23699G HTS規格のオイルはデポジットの生成が少なく、最新のエンジンに対する適合性に優れています。エーロシェル タービンオイル 560は、MIL-PRF-23699G HTS規格およびSAE AS 5780D SPC規格に適合しています。また、P&WC社より、PT6A、PT6B/C、PT6E、PT6Tエンジンの全モデルにおける使用が全面的に承認されています。
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