クールドEGRを使ったNOx低減の技術と潤滑油の関係①
EGR (Exhaust Gas Recirculation 排ガス再循環)はディーゼル車に限らず、ガソリン車、舶用エンジンにも使われている技術ですが、ここでは現在のディーゼル車に広く使われているクールドEGRについて、またそれに伴う潤滑油への影響についてご説明いたします。
EGRは排出ガスの一部を吸気側に戻して燃焼ピーク温度を下げ、有害物質であるNOxを低減する仕組みですが、PM, SOx, NOxが含まれた排出ガスを再度吸気側に戻すことで、酸化物であるSOx, NOx がオイルと触れ合う機会も増えてしまい、結果としてオイルの塩基価(酸化物を中和しエンジン各部の酸による腐食等を防ぐ能力の指標)の減りも進んでしまいます。オイルが酸化劣化した状態が続くと、劣化油によってエンジン各部の腐食、故障の原因に繋がってしまいます。


クールドEGRを使ったNOx低減の技術と潤滑油の関係②
またエンジンの燃料室では、シリンダライナーとピストンを潤滑しているエンジン油が掻き上げられ飛沫となって存在しています。多くは燃料と共に燃焼されてしまいますが、一部のエンジンオイルは飛沫のまま排気側へ進んでしまい、配管内壁に付着してしまいます。

オイル飛沫を含む排出ガスがEGRクーラーに戻され、冷却されることでさらに内面に付着しやすくなってしまい、時間が経過すると徐々に排ガスに含まれるススと共にカーボンスラッジとして堆積してしまいます。ひどい場合にはEGRクーラーの配管が閉塞したり、EGRバルブが固着して、EGRの故障の原因になる可能性があります。


潤滑油の種類によって
- 1)蒸発しにくい(飛沫になりにくい)エンジンオイル
- 2)熱によりカーボン生成しやすい粘度指数向上剤(ポリマー)の使用が最小限のエンジンオイル
があるので、このようなリスクを軽減する技術をもった潤滑油をお使いいただくことをお勧めします。
富士運輸 阿部工場長に「オイルの違いによるEGRクーラーの”詰まり”」についても、現場でどのような違いがあるのか教えていただきました!非常にわかりやすい解説になっています。
解説!整備のプロに聞く!EGRクーラーの違いwith 阿部工場長
次のページでは尿素SCRについて解説いたします。
尿素SCRを使ったNOx低減の技術と潤滑油の関係
NOx(窒素酸化物)を除去する後処理装置として、必要不可欠なものが尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)で、仕組みとしては触媒を使い、アンモニアとNOxを反応させて、無害な窒素(N2)と水(H2O)へ還元させるものです。ここで必要なのがアンモニアですが、アンモニア濃度が10%を超えてしまうと劇物指定となって取り扱いが難しいため、トラックメーカー各社は無害な尿素水(アドブルー)を充填できるようにして、反応直前に尿素水を加水分解することでアンモニアを取り出すように設計されています。

仕組みとしては、エンジンから排出されるガスをまずは酸化触媒(DOC : Diesel Oxidation Catalystとも表現されます)によって排ガス中PMに含まれるSOF(Soluble Organic Fraction, 可溶性有機成分:主には燃料の燃え残りや、飛沫となったエンジンオイルなどになります)を燃やすことで低減したり、NO(一酸化窒素)をNO2(二酸化窒素)にします。次にDPFでPMを削減した後にSCRでNOxを低減させて、最後に余ってしまったアンモニアを除去するために、アンモニア除去触媒を付けています。
先ほどのEGRクーラ―が詰まってしまうと、排ガスの再循環ができなくなってしまい、結果としてエンジン燃焼温度を下げることが出来ずNOxの発生量が増加してしまいます。それにより増加してしまったNOx発生を抑えるためにSCR触媒で使われる尿素水(アドブルー)の消費量も増えてしまうことになります。現在アドブルーの消費量が増えてきているようなことがあれば、こういったところもチェックしてみていただくことをお勧めします。
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