「デフとミッションを守る兼用ギヤオイルの潤滑技術」の記事で、ギヤオイルがスムーズなシフト操作やデフの保護に関わっていることをご紹介しました。
今回は、ギヤオイルの劣化によって引き起こされる症状の一つ「ギヤ鳴き」について、発生のメカニズムや改善するための潤滑技術をご紹介いたします。
ギヤ鳴きとは
ギヤチェンジの際、変則したいギヤへの同期がスムーズに行われないときに「ガリガリ」「ギー」という異音が発生することをギヤ鳴きといいます。
まずはこのギヤの同期のメカニズムを見ていきます。
ギヤの同期のメカニズム
下の図は、ニュートラル時、低速ギヤ、高速ギヤに同期したときのミッションでの動力伝達を示したイメージ図です。
動力側のシャフトとギヤ、およびカウンターシャフトとギヤは固定され同じ速度で回転しています。またカウンターシャフト側のギヤとアウトプットシャフト側のギヤもかみ合いそれぞれ回転していますが、ニュートラル時にはアウトプットシャフトとギヤは同期されておらず、ギヤが空転(アウトプットシャフトは回転していない)し、車輪に動力が伝わらない状態です。
車輪に動力を伝達するためギヤを入れるときには、シンクロナイザーリングという部品を介してカウンターシャフトとギヤを同期させ、ギヤの回転をシャフトを通じて車輪へ伝達していきます。
下の図は、トランスミッションの構造とシンクロナイザー周辺の拡大図です。
ギヤを入れる(あるいは変則する)際には、スリーブが変速したいギヤ側へ移動し、シンクロナイザーリングとギヤの速度が徐々に同期され、スリーブとギヤの爪がかみ合い完全同期し、ギヤの回転がシャフトに伝達されます。
ギヤ鳴きのメカニズムと発生要因
この完全同期までのプロセスで、シンクロナイザーリングとギヤがスムーズに同期(連結)しない場合に発生するのがギヤ鳴きです。
下の写真はスリーブとギヤの連結前後の写真です。
ギヤ鳴きの発生メカニズムは以下の通りです。
1)シンクロリングの摩耗や腐食などにより同期に時間がかかる
2)スリーブとギヤの連結がうまくいかない
3)部品同士が干渉し異音が発生する
そして、ギヤオイルに関連するギヤ鳴きの発生要因は、シンクロナイザーリングの腐食や摩耗です。
シンクロナイザーリングが腐食したり、ギヤオイルが劣化すると、シンクロナイザーリングとギヤコーンの間の摩擦係数が下がることで滑りが発生し、ギヤの同期に時間がかかることでスリーブとギヤの爪が干渉しギヤ鳴きが発生します。
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