PMの正体とDPF再生方法
ディーゼルエンジンの排ガス規制は年々厳しくなっており、排ガスから出る有害物質(PMとNOx)を減らしていくことが非常に重要な技術になっています。NOx 低減技術については別ページで解説させていただきましたので、ここではPMについて考えていきたいと思います。
まずはPMの成分構造と形状についてみていきます。
PMの構成の内4割ほどがスス、カーボンで、潤滑油成分(この場合はオイル飛沫がススやカーボンの表面に着く形)も3割以上が占めています。ディーゼルエンジンの燃焼室からは必ずPMが出てきますが、エンジンオイルで出来ることとして、
1. エンジンオイル燃焼によりカーボン生成しやすい粘度指数向上剤(ポリマー)の使用が少ないエンジンオイル
2. 蒸発しにくいエンジンオイル
を選定することが大事になってきます。
強制再生に伴うポスト噴射と燃料希釈の関係
DPF (Diesel Particulate Filter)の再生には2種類あります。
- 1)連続再生:高速など排ガス温度が高いときで、通常走行においてDPFを再生できる状態。
- 2)強制再生:市街地走行など排ガス温度が低い場合で、ポスト噴射により酸化触媒に燃料を供給し、酸化熱によりDPFの内部温度を上昇させてスス分を燃焼。それでも燃料しきらない場合は車輌停止し手動再生を実施。
DPFの強制再生をするためにポスト噴射をすると、どうしても副作用としてエンジンのシリンダライナーに燃料がかかりオイルパンへ燃料が入っていくことで燃料希釈(オイルに燃料が入り希釈されてしまっている状態)が発生しやすくなってしまいます。燃料希釈が発生すると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
燃料希釈のリスクについて
エンジンオイル内に燃料が入り、燃料希釈が起きると粘度低下と同時に、オイルの劣化速度が速くなってしまい、各エンジン部品に悪影響を及ぼしてしまいます。具体的には以下の通りです。
- ●粘度低下によりポンプ油圧が低下、潤滑個所にオイル行き届かなくなることで、特に粘度低下により動弁系が摩耗しやすくなる
- ●オイルの酸化劣化が促進されることで、特に鉛の腐食が促進される
DPFの設置は、排ガス内のPM抑制に貢献する技術ですが、それに伴い発生しがちな副作用を少しでも減らしていくことが必要になってきます。最初のページでもご紹介した通り、
- 1)エンジンオイルの燃焼によりカーボン生成しやすい粘度指数向上剤(ポリマー)の使用が最小限のエンジンオイル
- 2)蒸発しにくいエンジンオイル
を選ぶことが、ポスト噴射による燃料希釈を軽減する上でも大事なポイントになってきます。
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