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潤滑技術 - 産業オイル編

作動油の油温上昇、原因と対策とは?オイル漏れを低減する技術とは?

油温を低減する技術とは?

作動油の温度上昇の原因は、油圧ユニット内で発生する損失エネルギーの一部が「熱」に変換されるためです。(参照:【油圧作動油の省エネ – 粘度・粘度指数以外の要素とは?】)油温が上昇することで、機械の停止、オイル漏れの増加、シールの劣化が進む、オイルの寿命が短くなる等、様々な影響が想定されます。
では、省エネタイプの作動油がどのように油温上昇を抑制できるのか、もう少し詳しく見てみましょう。

下記はイメージ図ですが、左側が一般的な作動油の場合、右側が省エネ作動油の場合です。いずれも油圧装置が100の仕事を必要とされている場合、最終必要圧が100になるよう、ポンプの吐出圧を調整します。その時、油圧系内で損失するエネルギーが大きくなればなるほど、最終必要圧を出すためには出発点の圧力(ポンプの吐出圧)を大きくする必要があります。そのため、油圧内の圧力を調整するリリーフ弁からリリースされる作動油の圧力に差が生じ、余分な発熱を生じてしまいます。

一般的な油圧作動油と省エネ型油圧作動油の比較して、省エネ型作動油がより油温低減の効果が図れ、エネルギー損失に貢献していることを説明しています。

 

これがエネルギー損失の低減が油温上昇の抑制に繋がる理由なのです。

オイル漏れを抑制する潤滑油の技術

1. オイル漏れの原因

油圧装置で度々問題になる「オイルの漏れ」。作業環境の悪化、オイルを補充する手間とコストが増える等、良いことはありません。古い機械だけではなく、まだ年月が経っていない機械でも漏れは発生します。
では、なぜこのオイル漏れは発生するのでしょうか?
主な原因は、
1.油温の上昇によってオイルが低粘度化(軟化)する
2.オイルシールの劣化
3.振動
4.高圧化
と考えることができます。
このオイル漏れを抑制する技術があることをご存知でしょうか?

2. オイル漏れを抑制する潤滑油の技術

潤滑油によって上記を抑制する技術としては、下記5つがあげられます。

①油温が上昇しても低粘度化(軟化)しない
②油温の上昇を抑える
③オイルシールの劣化を抑える
④振動を抑える
⑤配管内の圧力を抑える

① 油温が上昇しても軟化しない

潤滑油は温められると粘度が低下し(柔らかくなり)、冷えると粘度が上昇する(硬くなる)性質があります。潤滑油の粘度は32番、46番といった表現をしますが、これは40℃の時の動粘度を示しています。言い換えると46番の潤滑油は、種類によらず40℃の時はおよそ同じ粘度(硬さ)をしているということです。ただ、夏場や負荷の高い運転下では潤滑油の温度が上昇し、どんどん軟らかくなります。その時の軟らかさは潤滑油の種類によって異なることをご存知でしょうか?それを示した表がこちらです。

暖機運転時の通常作動油と高粘度指数油の比較を表している図です。

 

潤滑油の粘度は、温度の影響を強く受けます。しかし、温度に対する粘度の変化率は油圧作動油の種類によって異なります。その指標を表したものを「粘度指数」といい、温度変化に対して粘度変化が小さいオイルは粘度指数が高い値を示します。つまり上図で、「傾きが小さいオイル=温度によって粘度が変わりにくいオイル」は「粘度指数が高いオイル」となります。高粘度指数の潤滑油を選択することで油温が上昇しても軟らかくならず、漏れを抑制することができます。

② 油温の上昇を抑える

「油温を低減する技術とは?」で説明した通り、損失エネルギーの一部が「熱」に変換されてしまいます。根本的に油温を抑えることで、粘度が下がることを防ぐことができます。

③ オイルシールの劣化を抑える

油温低減の効果は、粘度低下を抑えるだけではありません。実は、オイルシールの寿命にも影響します。油温が上昇すると、当然シール材の温度にも影響を与えますが、シール材の温度が10℃上がるとシールの寿命は半減すると言われています。本来は機械の動きに合わせて柔軟に変形し潤滑油の漏れを防いでくれるオイルシールですが、劣化すると硬くなり漏れが加速します。
また、使用するシール材と相性の良い油圧作動油を選択することも重要です。

油温を下げ、オイルシールの劣化を抑制することで漏れを抑制することができるのです。

④ 振動を抑える

省エネ型作動油を使用することで損失エネルギーを抑制することができることをここまで述べてきました。油圧全体で見ると、ポンプ、フィルタ、配管等の圧損を低下させることで機械全体の振動を抑えることにも繋がります。振動を抑えることで、配管やシールから生じる漏れを減らすことに繋がります。

⑤ 配管内の圧力を抑える

「油温を低減する技術とは?」でも使用した図ですが、左側の図のように、系内の圧力が高い状態では、配管の継ぎ目など、わずかな隙間から生じる漏れも大きくなります。

一般的な油圧作動油と省エネ型油圧作動油の比較して、省エネ型作動油がより油温低減の効果が図れ、エネルギー損失に貢献していることを説明しています。

3.オイル漏れ低減の技術 まとめ

省エネ型作動油によって副次効果を生み、オイルの漏れの抑制に繋がります。

シェルルブリカンツジャパンの省エネタイプの油圧作動油はこちら↓
シェルテラスS3VE(ご興味のある方はぜひ左記リンクにてご覧ください)

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