世界中の重要設備で採用が進む環境配慮型潤滑油
生分解性潤滑油は、万一の油漏れが自然環境へ影響を及ぼす可能性がある場所で広く使用されています。特に河川、森林、海洋、水源地などのセンシティブな環境では、油圧機械や潤滑機器からの偶発的な漏洩リスクに備えるため、生分解性作動油や生分解性グリースの採用が進んでいます。
近年は「環境配慮型だから採用する」という考え方だけではなく、「環境性能と機械保護性能を両立できる高性能潤滑油」として評価されるケースが増えています。
今回は、生分解性潤滑油が実際に使用されている代表的な分野をご紹介します。
1.河川工事
河川工事では、パワーショベルやクレーン、ホイールローダーなどの油圧機械が河川や水路の近くで使用されます。
どれだけ予防保全を徹底しても、ホース破損やシール劣化、誤操作などによる油漏れリスクを完全になくすことはできません。万一作動油が河川へ流出した場合、環境への影響だけでなく、復旧費用や工事停止などの問題につながる可能性があります。
そのため、環境リスク対策の一つとして、生分解性作動油が採用されています。日本でも建設機械用生分解性作動油の規格(JCMAS P 042)が定められています。

2.海洋・港湾工事
海洋・港湾分野では、起重機船、浚渫船、アンローダー船、港湾クレーンなど、多くの機械設備で潤滑油や作動油が使用されています。
欧州では以前から生分解性潤滑油の採用が進んでおり、米国ではEPAのVGP/VIDA規制の考え方により、海洋環境への影響を考慮した潤滑油の使用が求められるケースもあります。
日本でも環境配慮型の作業船や港湾設備の導入が進んでおり、生分解性潤滑油への関心が高まっています。

3.鉄道保線工事
日本国内で生分解性作動油の採用が特に進んでいる分野の一つが鉄道保線です。
マルチプルタイタンパー(マルタイ)、軌陸車、モーターカー、レール削正車などの保線機械は、河川、農地、水路、森林に隣接した場所で使用されることが少なくありません。
そのため鉄道事業者では、万一の油漏れによる環境リスクを考慮し、生分解性作動油を採用するケースが増えています。

4.林業機械
森林は木材資源であると同時に、水源涵養や生態系保全など重要な役割を担っています。
近年は林業従事者の減少や高齢化への対応として、ハーベスタ、フォワーダー、タワーヤーダーなどの機械化が進められています。
しかし、山林は河川や飲料水の水源地でもあり、油漏れによる環境影響は決して小さくありません。
そのため欧州では林業機械向けの生分解性作動油や生分解性グリースの採用が広く進んでいます。

5.水力発電・風力発電
再生可能エネルギー設備でも生分解性潤滑油は活用されています。
水力発電設備ではダムや水門、水車周辺に設置された油圧機器に使用されることがあります。また風力発電設備では、環境負荷低減を目的として油圧機器や補機類に生分解性潤滑油が採用される事例があります。
特に自然環境に隣接した設備では、環境保全と設備保護の両立が重要なテーマとなっています。
6.水門設備
水門やロックゲートなどの設備は、河川や運河と常に接しているため、油漏れが直接水環境へ影響する可能性があります。そのため欧州を中心に、生分解性作動油が広く活用されています。パナマ運河のロックゲートや各種水門設備は、生分解性潤滑油の代表的な適用分野として知られています。
7.ヨーロッパの採用事例
欧州は世界でも生分解性潤滑油の採用が進んでいる地域の一つです。
スイスアルプスの高山鉄道、フランスのモンサンミッシェル、英国テムズ川のロンドンアイ、パナマ運河のロックゲートなど、環境への配慮が求められるさまざまな設備で生分解性潤滑油が使用されています。
また、建設土木、林業、農業、鉱山機械などでも採用実績が広がっています。
8.シェル パノリンの採用事例
シェル パノリン(Shell PANOLIN)は、建設土木機械、鉄道保線機械、林業機械、海洋・港湾設備、水力発電設備など幅広い分野で採用されています。日本国内では、エコマーク認定を取得した製品もラインアップしています。
特に環境への影響が大きい現場では、
✔ 生分解性
✔ 低生体毒性
✔ 生物無蓄積性
✔ 高い機械保護性能
✔ 長寿命化
が評価され、環境リスク低減と設備保護の両立を実現する潤滑油として選ばれています。
9.まとめ
生分解性潤滑油は、河川工事、海洋・港湾工事、鉄道保線、林業、水力発電、水門設備など、自然環境と密接に関わる多くの分野で採用されています。環境保護への意識が高まるなか、求められているのは単なる「環境対応油」ではありません。
環境性能と機械性能を高いレベルで両立する高性能潤滑油。
それこそが、世界中の重要設備で生分解性潤滑油が採用される理由なのです。
次回は 「シェル パノリン生分解性潤滑油の特長」 ~なぜ世界のOEMやユーザーに選ばれているのか~ を解説します。
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