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潤滑技術 - トピックス

Shell GTL (Gas To Liquid)とGTLベースオイルとは!

GTLとは?

 GTLGas To Liquid)とは、天然ガスの分子構造を組み替えて、液化燃料やベースオイルを作る技術や、その技術によって製造された成分や製品のことを意味します。一般には、GTL燃料、GTLナフサ、GTLオイル、などと用いられます。気体状である天然ガスと比べて、液体であるGTLの各種製品は、常温常圧で扱いやすく、硫黄分やアロマ分を含まないため比較的クリーンであるといった特徴があります。

(製品や使用条件に依存します。また、製品そのものはクリーンでも、製造時のCO2排出量が今後の課題として取り上げられています。)

 Shellは、GTLのグローバル・リーディングカンパニーです。

Shell GTL とは?

Shell 独自技術で開発されたGTL技術について、解説させていただきます。Shell GTL技術で製造される商品は、燃料から潤滑油基油まで幅広く、GTL灯油留分からは航空機向け燃料,GTLガスオイル(軽油)留分からは排出ガスがクリーンな燃料,GTL ノルマルパラフィン留分からは洗剤原料,GTL ナフサ留分からは化成品原料,GTL 基油留分からはGTL 基油が製造されています。

GTL製品は無色無臭で、原油成分に含まれる硫黄、芳香族、窒素などの不純物はほとんど含まれていません。シェルは1970年代にオランダ・アムステルダムの研究所でGTLテクノロジーの開発に成功し、 1993年にマレーシアのビントゥールに世界初の商用GTLプラントを開設しました。そして、2011年にカタールに世界最大のGTLプラントを開設し、現在世界中のShellグループがGTL由来の商品をグローバルで販売させていただいています。特にGTLベースオイルはAPI グループIIIに属する合成油100%として様々な特徴があります。

GTLベースオイルのメリットとは!

1.粘度指数が高く流動点が低い

通常の鉱物油と比べて、粘度指数が高いのが大きな特徴のうちの一つです。通常、潤滑油は温度が低いと固まりやすく、温度が高いと粘度が薄く(シャバシャバな状態)なる特徴があります。粘度指数とは温度に対する粘度変化を指数で表していて、粘度指数が高い「温度が変わっても粘度変化を起こしにくい」という性質を表しています。粘度指数が高いこと以外にも、100%化学合成であるGTLは、高性能ベースオイルには必須の「イソパラフィン」が主成分で、さまざまなメリットを生み出しています。
ほかにも、優れた低温粘度特性、低摩擦特性、優れた酸化安定性も有しています。近年、エンジンオイルでは省燃費特性のさらなる向上や、特にディーゼルエンジンオイルには後処理装置対策など、より多岐にわたる性能を持った潤滑油が求められており、シェルグループではGTLの特性を生かした潤滑油を開発し、お客様へお届けしております。それ以外にも、密度が低いことで省エネ効果が期待できる油圧作動油や、低温始動性に優れた潤滑油も開発することができます。

2.蒸発特性に優れる

GTLベースオイルの特徴として蒸発特性があり、通常のベースオイルと比較して「蒸発しにくい」特徴があります。近年のエンジンオイルは省燃費のニーズが高まり、低粘度化(0W200W16など)と同時に、高い粘度指数が求められています。低粘度化のためには、当然低粘度ベースオイルを使用することになりますが、通常、低粘度のベースオイルは炭素数(分子量)も少なく蒸発しやすくなってしまいます。これが原因で、通常の鉱物系ベースオイルだと下の図のように低分子領域のベースオイルが減っていくことになるので、オイル消費量も多くなってしまいます(蒸発減量)。結果として粘度増加、エネルギーロスの増大、潤滑の不備と繋がり、トラブルの原因になってしまいます。またディーゼルエンジンオイルでは、エンジンオイルの蒸発が後処理装置(DPFEGR)やターボチャージャーへのカーボン堆積の原因にもなるため、エンジンオイルを選定される際には大切な指標のうちの一つと言えます。

分子量の違いによる蒸発特性の違いを示す図になります。分子量の小さいものは蒸発しやすい特徴があります。

 

3.密度が低い

GTLの大きな特徴のうちの1つとして、「低密度」があります。密度が低いことで省エネ効果が期待できる油圧作動油や、電気自動車用の電気モータやバッテリ冷却媒体の一つとして冷却油の開発にも応用できることが期待されています。電気自動車の電気モータやバッテリ冷却油には、比熱が大きく、熱伝導性が高い方が優位なので、それらの物性に寄与する密度の低いGTLの応用範囲は、今後も広がっていくと考えられています。

4.添加剤の効きを最大限にする

GTLは天然ガスから合成することによって製造されるため、高純度な炭化水素を主体とした分子で構成されています。一方で通常の鉱物系ベースオイルには、精製された後も微量の窒素系や硫黄系の化合物が含まれてしまいます。それらが添加剤効果(酸化防止剤など)に影響し、元々もっていた添加剤の働きを弱めてしまうことがわかっています。GTLはそういった不純物が極めて少ないため、酸化防止剤が効果的にフリーラジカル(オイル中の酸化劣化連鎖反応の元となる活性の強い原子/分子)と反応し、添加剤が本来持っている能力を十分に発揮し、酸化劣化を食い止めることができます。今後も求められていく高性能潤滑油を設計する際に、GTLベースオイルはそれらを可能にする大きなポテンシャルを持っています。

 

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