各産業界の皆様からご好評、ご愛顧いただいております当社アルバニヤグリースの開発から今に至る歴史や開発での苦労話について、開発担当者へインタビューしました。※個人の見解もあることをご了承下さい。
普段当たり前のようにお客様の設備にご使用いただいているアルバニヤグリースですが、なかなか普段触れることができない商品開発の歴史といった貴重な内容になっておりますので、是非ご一読いただけますと幸いです。
アルバ二ヤってどういう意味?
当社シェルの潤滑油・グリースは、会社の歴史より「貝殻」に関連付けて、そのブランド名に貝(殻)の名前を与えてきました。 聞かれたことがあるかと思いますが、グリースだけでなく油圧作動油のテラスシリーズなども貝の名前に由来しています。
創業者のマ-カス・サミュエルが日本へ訪れた際のエピソードに由来しており、サミュエルが19歳の時に商業修行のために日本へ足を運びんだ際、横浜の三浦海岸を訪れ、美しい貝を見て貝殻をあしらった商品を販売することを思いつき、貝殻を散りばめた小箱などを作りロンドンの父親の元に送ったところから始まりました。父親がロンドンでサミュエルが作った商品を売り歩き、商売が軌道に乗ると専門店を開き、貝を取り扱うことから「シェルショップ」と呼ばれるようになりました。
アルバニヤグリースの開発の歴史って長いの?
現在のアルバニヤシリーズの前身となるアルバニヤグリース(リチウム系)が開発されたのは、1940年代後半という遠い昔であり、当時のシェル(海外)によって開発されました。当時グリースというものは、欧米を中心に開発が活発に行われており、特に第二次世界大戦の戦時中は軍事産業拡大にも支えられ、グリースの開発も盛んに行われておりました。当時は、シェルとシェブロンで開発競争が進められていたようですね。日本へグリース技術が輸入されるようになったのは、そこから終戦となり、日本の高度成長を控えたタイミングだったかと思いますね。
当時の日本は、もちろん今のようなグリース製造プラントはありませんでした。作業員は下駄を履いて、手でかき混ぜて、人力でグリースを製造していましたので、今となっては、こんなこと考えられないですよね。
日本での量産(オートメーション)化が進んだのは、1960~1970年代頃かと思われます。この時期に、シェルが日本へグリース技術を導入し、今の量産(オートメーション)化の製造方法が確立されました。
1970年代以降にシェルが日本でグリース製造装置や製造プロセスを教示することによって、一気に量産(オートメーション)化が進みました。終戦後、高度経済成長に差し掛かるタイミングで、産業界の機械も多様化し、求められる潤滑性能も多様になっていった時期でしたね。
その当時に産業界に求められる性能を満足するべく開発されたのが、今当社で販売しているアルバニヤEPであり、シェル石油(当時)が開発しました。また、余談になりますが、昭和石油(当時:シェル石油の資本50%)は、自動車等のホイールベアリングに使用されるショートファイバー(短繊維)型リチウムグリースを先駆けて開発しました。これが今で言う、サンライトグリースです。
ここまでの話で分かる通り、シェルはずっと昔からグリースの開発を進めてきており、日本でグリース技術が発展した立役者だったことが、わかっていただきましたでしょうか。日本でグリース技術が導入された際に、石油元売り会社としても、グリース開発を積極的に進めていたのは、シェル石油と昭和石油くらいだったのではないでしょうか。
アルバニヤSが開発に至るまでの苦労話、変遷はありますか?
日本が高度経済成長をしていく中で、1990年代にはグリースに使用される材料への規制が厳しくなってきました。当時は、水質環境負荷物質対象となる材料がアルバニヤグリースに添加されていたため、処方の見直しが迫られました。その処方見直ししたものが、現在も販売しているアルバニヤSであり、1990年代後半から市場に導入され始めました。
シェルが開発した元となるアルバニヤグリースはリチウム系のグリースとは言え、軸受け寿命、防錆性、音響特性この3つの性能が卓越しておりました。そのため、このアルバニヤグリース同等の性能を維持しつつ、処方を変えることは困難を極めました。この時、開発担当をしていましたが本当に大変でした…。(泣) というのも、使用する添加剤を少し変えるだけで、この3つの性能のバランスが崩れてしまい、元々あったアルバニヤグリースの性能を維持することが難しかったのです。
本当にグリースの技術というのは奥が深く、難しいものだと改めて感じさせられましたし、当時ベアリングメーカー様からも、度々ご助言いただきながら開発までこぎつけることができましたね。(特に、塩水での防錆性に対する要求がとても高かった記憶がありますね。)
ただ、このような困難があったからこそ、現在各産業界の皆様にアルバニヤグリースが認知されるようになり、高い評価とご愛顧いただいているんだと確信しています。また、アルバニヤSは音響特性が極めて良好で、今でも自信をもってお客様にはご提案できますね。
アルバニヤ グリースの歴史表
ズバリ、アルバニヤシリーズが、産業界の皆様に、ここまでご愛顧いただける商品になった理由は何でしょうか?
やはり、アルバニヤグリースが開発されてから約80年の歴史があるからでしょうね。それと、先ほどもコメントしましたが、日本でグリースが普及する原点となったシェルの技術と、長い歴史にわたって、ベアリングメーカー様や各産業界の皆様からご助言をいただき、開発検討を進めてきた歴史があるからこそ、今皆様にご愛顧いただいているんだと感じています。私もグリース開発に携わり苦労なことばかりでしたが、それは大変うれしい限りですね。
皆様、いかがでしたでしょうか?既にアルバニヤグリースをご愛顧いただいているお客様におかれましては、このような開発の歴史があったんだと、心の隅においていただけますと幸いです。
また、まだアルバニヤグリースをご存じでないお客様でご興味がある方は是非、当社商品案内ページへアクセスしてみてください。ご不明点ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
\ 電話窓口 : 9:00-17:30(平日) /
0120-064-315
お問い合わせはコチラ
セミナーや新製品のお知らせがいち早く届く!
メルマガの登録はコチラ