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石油製品の消防法基礎、高引火点タイプの潤滑油とは?

この記事は危険物関係法令をイメージしやすくするために詳しい法令文言や法令解釈等を省略しています。具体的な危険物に関する相談事案が発生した場合は管轄の消防本部に相談するようお願いします。

消防法における危険物とは

石油製品とはガソリン、灯油、軽油、重油、潤滑油等、燃えやすい物質であることは広く知られています。ただ、その燃えやすさには差があり、消防法では石油製品の種類に応じて敷地内で保持できる数量に制限を設ける等、細かく指定されています。まず、消防法における「危険物」がどのように定義されているか見てみましょう。
危険物とは下記の通り6つの分類に分かれており、石油製品は第四類に属しています。

1.危険物の分類と第四類の詳細

危険物の分類と第四類の詳細

第四類は引火性液体として定められており、「火が近くに存在すると引火する可能性がある液体のため、管理に十分注意が必要」と考えることができます。その管理の上で重要になるのが「指定数量」です。図1の第四類の表の右列に指定数量を示していますが、引火の可能性が高い物ほど保持できる数量の上限を厳しく設けています。一定量を超えて危険物を所有する場合、原則として市町村等の許可を受けた危険物施設以外の場所では取り扱うことができません。危険物を扱う施設の位置、構造、設備については基準が厳しく定められており、下記のような対策を求められます。
●防火設備、消火設備の設置
●保管倉庫の壁、柱を耐火構造とする
●床面積、倉庫の高さの制限
●網入りガラスの使用
●一定面積の空地の確保
こちらは一例ですので、詳細は各自治体の規定をご確認ください。
さて、第四類の中には第1石油類や第4石油類など細かく分類されていますが、これは「引火点」という尺度で定義されています。

引火点とは

石油製品は加熱すると蒸気を発生し、火を近づけると引火します。試料に瞬間的に引火して消える最低温度を引火点と呼びます。また、加熱を続け蒸気の発生が一層激しくなり、点火することで燃焼が続くようになります。試料が5秒間燃焼を続けた時の最初の温度を燃焼点と呼びます。石油製品の分類は前者の引火点で分類され、測定方法はいくつか存在します。

2. クリーブランド開放式引火点試験

図2. クリーブランド開放式引火点試験

図2は潤滑油など主に引火点が高めの油脂類を測定する際に使用するクリーブランド開放式引火点試験です。引火点は瞬間的に火がつく温度であり、密閉した試験で測定するか、開放している装置かによって10~20℃異なる値を示すので対象試料と試験方法には注意が必要です。
また、消防法分類決定の際に使用できる引火点測定方式は消防法によって定められておりますので、詳細を確認されたい方は弊社ルブカスタマーサービスセンターにお問い合わせください。

3. 引火点測定試験

引火点測定試験

次に引火点による分類を見てみましょう。図4のように引火点の値で第四類は分類されています。

図4. 引火点による第四類の分類

引火点による第四類の分類

また、石油製品は一般的に図5のように引火点を有します。潤滑油の多くは第3石油類もしくは第4石油類に分類されます。

図5. 石油製品の引火点
石油製品の引火点

石油製品は引火点によって第1石油類から第4石油類に分類されることをご説明してきましたが、250℃以上の引火点を有する潤滑油が存在し、それを可燃性液体類と呼びます。

可燃性液体類の規制緩和

250℃以上の引火点をもつ潤滑油は、図6の通り取り扱い数量による届け出が免除されたり、保有空き地、避雷針設置の免除など、取り扱いが緩和されます。

図6. 可燃性液体類と第4石油類の比較

可燃性液体類と第4石油類の比較

ただ、例外として「ギヤ油」、「シリンダー油」は引火点を250℃以上有しても可燃性液体類に分類されず第4石油類に属しますのでご注意ください。
また、指定数量については原則、棟単位で算定されます。算定する危険物は、機械設備内部の物や廃油、新油としてドラム缶で保管しているもの、その全てが対象となります。例えば、危険物として潤滑油のみを扱っている建屋①、建屋②のケースを見てみましょう。

図7. 指定数量の計算例

指定数量の計算例

図7のように、建屋内全ての数量を合算します。建屋①のように第4石油類が6,000Lを超えると危険物施設となります。一方、建屋②のように、機械Aを可燃性液体類に切り替えた場合、合計6,000Lを下回るので少量危険物取扱所となります。
また、複数の危険物を保有している場合は、図8のように倍数を計算する必要があります。

図8. 指定数量の倍数計算例

指定数量の倍数計算例

指定数量

このように、危険物を複数所有する場合は注意が必要です。また、ガソリン、灯油、軽油、重油のような燃料は保有数量を少なくすることでしか対策が立てられませんが、潤滑油の場合は、可燃性液体類を選択することで管理を簡素化することができます。

可燃性液体類の潤滑油の特徴は、低分子量成分が少なく蒸発が少ないことです。粘度の高い潤滑油は分子量が大きい成分が相対的に多いため引火点が高くなりますが、低粘度の潤滑油の場合でも、選択するベースオイルによって引火点を高くすることができます。さらに詳しい技術的な理論を知りたい方は下記ページの「2.蒸発特性に優れる」の部分をご覧ください。
「Shell GTL (Gas To Liquid)とGTLベースオイルとは!」

まとめ

石油製品と消防法の関係をご理解いただけたかと思います。また潤滑油を多く使用する機械を所有されている方は、可燃性液体類への切り替えによって管理が簡素化される可能性があります。一度見直してみてはいかがでしょうか。

可燃性液体類に分類される弊社工業用潤滑油は下記の総合パンフレット内の最終ページをご参照ください。
工業用潤滑油ラインナップ

【高引火点タイプの潤滑油改善事例はこちら】
作動油/省エネ:https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/solution/industry/1916/
コンプレッサー油/省エネ:https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/solution/industry/1064/
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