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潤滑油グリースコンテンツ

潤滑技術 - 陸運オイル編

ミッションとデフを守る兼用ギヤオイルの潤滑技術

車両用ギヤオイルの種類

トラック・バスでは、走力を得るためのエンジンの動力をタイヤに伝達するまでの駆動系(ドライブライン)には様々なギヤが使用されています。駆動系部品のなかで、ギヤの保護やスムーズな作動を保つためにギヤオイルが使用されているのが、トランスミッション(以下ミッション)終減速機(以下デフ)です。
※当記事に記載するミッションとは、全てマニュアルトランスミッションのことを意味します。

トランスミッションとデフの位置図

この車両用ギヤオイルには、ミッション専用油、デフ専用油、ミッション・デフ兼用油などの複数のギヤオイルがあります。今回は、なぜそれぞれの専用油が必要なのか、専用油と兼用油の違いは何か、についてご説明いたします。

ミッションとデフの要求性能の違い

下記のスライドは、車両の安定走行のために、ミッションとデフがギヤオイルに求めること、またその要求に応えるために必要なオイルの性能を示しています。
ミッション・デフのギヤオイルへの要求

ご覧のとおり、ミッションとデフでは、ギヤオイルへの要求、そして必要なギヤオイルの性能が異なります。ッションでは、良好なシフト操作性・フィーリングを維持するために適正な摩擦特性や低温粘度が必要であり、デフでは、極めて過酷なギヤの歯面の面圧でも損傷しないよう高い耐荷重性(極圧性)が求められます。
このように、必要とされる性能が異なるために、ミッションとデフにはそれぞれ専用油が用意されています。

ミッションとデフで兼用するためのオイル技術

上記のとおりミッションとデフには異なる要求性能があり、それぞれに専用油が用意されていますが、車両ユーザー様から誤給油によるトラブル削減と在庫管理の簡易化のご要望により、ミッションとデフの双方に使用できる兼用オイルが開発されました。

しかし、ションとデフの要求性能のいくつかは背反関係にあるため、兼用油ではこれらをどのように両立させるかが重要になります。以下がその背反関係の一例です。
●デフの保護性能を高めるために耐過重性(極圧性)を高めると、その背反として酸化安定性が落ちることで、高温にさらされるミッションにおけるオイル劣化が早まる。
●ミッションのシフト操作性向上のため低粘度化すると、油膜が薄くなりデフの保護性能が落ちることで、デフ損傷のリスクが上がる。

従って、ミッション・デフ兼用油では、それぞれの要求性能を満たしつつ背反するネガティブな影響を抑えるため、酸化安定性に優れたベースオイルの採用や新たな添加剤技術の導入により、誤給油トラブル防止や在庫管理の一本化とともに、良好なシフト操作性と安心のデフ保護性能を発揮するよう工夫が施されています。

 

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